「玉露・被覆・寒冷紗」 玉露(名)ぎょく・ろ❶玉のように美しい露。❷煎茶の優良品。日覆いをして育てた茶樹の若葉を原料とする。天保年間(一八三〇〜一八四四)江戸の茶商山本嘉兵衛が宇治で作ったのに始まるという。被覆(名)ひ・ふく❶物の表面におおいかぶせること。また、そのもの。「絶縁体で被覆したケーブル」寒冷紗(名)かんれい・しゃ❶織り目の粗い薄地綿布。濃いのりで仕上げをして、カーテン・かや・造花・芯地などに使う。出典:小学館 デジタル大辞泉より玉露は、日本茶の中でもひときわ栽培に手間がかかる種類のお茶です。茶園では、新芽が育つ時期に茶畑全体に黒い「寒冷紗」をかけ、やわらかな光の下で静かに葉を育てます。この「被覆」と呼ばれる栽培方法により、茶葉は渋みのもととなるカテキンの生成が抑えられ、旨み成分であるテアニンをたっぷりと蓄えます。やわらかな若葉を一枚ずつ摘み取り、低温でじっくり仕上げられた玉露は、深い緑と独特の覆い香をまとい、濃厚でまろやかな旨みを持つお茶に仕上がるのです。夏の朝の涼しい時間や、夕暮れの風が心地よいひとときには、湯冷ましした60℃程度のお湯でじっくりと抽出し、氷を浮かべてロックで味わうのがおすすめ。冷たさとともに広がる玉露の甘みと旨みは、暑さの中で体と心をゆっくりとほぐしてくれます。手間と時間を惜しまぬ栽培と製茶の技が生み出すこの一杯は、夏のくつろぎの時間をより豊かにしてくれますよ。イラスト=葛原美晴