〈 今月の表紙 〉秋の実りは、人生と似ている- VOL.79(2025年11月発行号)
お茶の定期便『TOKYO TEA JOURNAL』の巻末『今月の表紙』をご紹介。毎月、イラストレーター・土居香桜里さんの素敵なイラストにちなんだ小話を掲載しています。
心を満たす、滋味深さ。

「五穀餅」は、農村の暮らしから生まれた素朴な餅菓子。稲や麦、あわ、きび、豆などの “五穀” は、古くから豊穣を祈る象徴として、この季節に食べられてきました。
収穫の喜びと感謝を込め、家にある雑穀を混ぜた餅を搗き、神棚に供えて家族や地域の人々で分け合う。そんなささやかな営みが、自然とともに生きる人々の知恵と祈りのかたちでした。
土地の恵みをそのまま味わうおやつは、噛むほどに穀物の香ばしさと優しい甘みが広がり、派手さはなくても、心を満たす力強さがあります。四季とともに暮らした日本の原風景を感じる、ずっとあり続けて欲しいおやつです。香ばしいお茶と一緒に、どうぞ。
文=神まどか
イラスト=土居香桜里