とっておきのMYあんこ。vol.035 御菓子司 中里の〈揚最中〉- 吉森なな子
あの人が愛するあんこと、あんこの思い出エピソード。月に一度更新予定。3ヶ月ごとに“あんこラバー”が変わります。様々な人が、その人生で記憶に残るあんこのお話をご紹介します。
今月のあんこラバー
吉森なな子さん
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料理人。2025年に世田谷のお弁当・お惣菜『75foods(ナナゴーフーズ)』をオープン。食べると心も温かくなる料理が人気を集める。 |
御菓子司 中里の〈揚最中〉

以前働いていた西荻窪のお店では、毎日のように皆でお茶とおやつを囲む時間があった。忙しい日でも、ひと息つくように自然と誰かがお茶を淹れ、そこに誰かが持ってきたおやつが並ぶ。そんなささやかな時間が、いつのまにかその場所の日常になっていた。
ある日、差し入れでいただいた中里の揚最中。白地に、大きな深緑の葉やカエルが描かれた包みを開けると、香ばしい最中が綺麗に並んでいて、その佇まいだけで少し気持ちが華やいだのを覚えている。誰かの「焼いてみよう」という一言で、最中の皮を軽くリベイクしてからあんこを挟んでみると、食感がいっそう際立って、香ばしさの奥にあんこのやさしい甘みが重なった。塩気と甘さの組み合わせも絶妙で、思わず皆で顔を見合わせるほどの美味しさだった。
美味しいおやつを見つけるたび、今もあの時間と仲間の顔を思い出す。あのお茶の時間は、形を変えて私の中で続いている。
このあんこ菓子に合いそうなお茶