白と藍の交差点。安齋新・厚子さんの「白磁染付ふね」
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安齋新さん・厚子さんご夫妻の白磁には、凛とした静けさがあります。けれど、染付が入ると、その静けさの中に“視線の行き先”が生まれる。今回ご紹介する「白磁染付ふね」は、まさにそのタイプの一枚です。
舟のように細長い輪郭。中央に向かってゆるやかにくぼみ、縁がすっと持ち上がるかたち。そこに、藍の線がリズムよく走り、淡いにじみが点在する。白と藍のコントラストは明快なのに、硬くならない。むしろ、光の当たり方で、絵付けの濃淡がすっとほどけていくように見えます。
直線がつくる、やわらかな余白

絵柄は、斜めの線が折り返しながら交差し、中央で“X”を描くような構成。きっちりとした幾何学のはずなのに、ところどころに見える染付のにじみが、温度を与えています。
線の間には、白磁の余白がしっかり残されている。だから、器の中にのせたものが、自然に主役になる。焼き菓子の茶色、琥珀糖の透け、果実の赤。色のあるものほど、白と藍の静かな背景がよく効きます。
安齋さんご夫妻は、制作について「焼成可能な中で、どう表現できるかが思案のしどころ」と語ります。制約の中で研ぎ澄まされた線の強さと、にじみが残すゆらぎ。その両方が、この器の“静かな華やかさ”になっているように感じました。
「小皿」より少し自由な、舟のかたち

サイズは、横幅15.5cm・奥行き8cm・高さ3cm。
小皿ほど小さくなく、取り皿ほど大きくない。けれど、丸でも四角でもない“ふね”の輪郭が、用途の想像を少しだけ広げてくれます。
縁がゆるやかに立ち上がっているので、軽いくぼみのある小鉢のようにも使える。クッキーや豆菓子を数種類、気負わずに盛れるのに、散らからない。包み紙のある菓子をのせても収まりがよく、テーブルの上で「置き場所」が自然に決まります。
お茶の時間に、ちょうどいい“受け皿”

この器が似合うのは、手を伸ばしたくなる距離のお茶請け。
サブレやビスケットのような焼き菓子はもちろん、薄く切った羊羹や、ひと口の生菓子、干菓子にも。白磁の明るさが、砂糖の粒や粉の質感をきれいに拾ってくれます。

飲み物は、煎茶・ほうじ茶・紅茶など、日常のお茶で十分。器が主張しすぎないぶん、合わせるお茶の個性が立ち、いつもの一杯が少しだけ整って見える。そんな“引き立て役の上手さ”があります。
しまう時も、景色が崩れない

高さ3cmの浅さは、重ねた時にも扱いやすいバランスです。
薄すぎず、輪郭がきちんとしているので、棚に重ねて収めても気持ちがいい。日常の中で手が伸びる器は、こういうところで差がつきます。
安齋新さん・厚子さんが大切にしている「透明感」や「細部」。その言葉どおり、白磁の肌はクリアで、縁のラインは端正。染付の藍も、強さとやわらかさの両方を抱えています。
お茶の時間の“受け皿”として。あるいは、食卓の小さな前菜や、薬味の居場所として。
暮らしの中の少しの余白に、すっと差し込める器です。ぜひ手元で、その使いやすさと静かな景色を確かめてみてください。











