静寂を映し出す。遠藤岳さんの茶器
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丹沢の山々が連なる豊かな自然に抱かれ、澄んだ空気と清らかな水に恵まれた神奈川県山北町。陶芸家・遠藤岳(えんどう・たかし)さんは、その静かな環境に工房を構え、日々土と向き合っています。
陶器とは思えないほど薄く繊細なフォルムと、土の質感を生かした力強い表情。相反した魅力が宿る遠藤さんの器は、シンプルでモダンな作風は国内外から高く評価され、食卓に静かな存在感を添えています。
このたび、煎茶堂東京で作品のお取り扱いが始まります。今回は「Cup (Ro)」「Small Cup」「Cup」「JP Pitcher」をご紹介します。

土選び・成形・焼成のすべてにおいて「こだわらない工程は一つもない」と、語る遠藤さん。素材を徹底して探求し、意図した表情に近づけているのだそう。
なかでも目を引くのが、焼成で用いられる「冷却還元」という方法。これは、酸素を少なくして焼く「還元焼成」を、焚き終えた後の冷却段階でも続けることで、土や釉薬に独特の色や質感を与える技法です。

同じ窯であっても置く場所によって仕上がりに差が生じます。そこで作家の意図と、窯の中で起きる偶然が交わり、器に豊かな表情と奥行きが宿ります。
ひとつずつ異なる表情を魅せる遠藤さんの作品は、触れるたびに発見があり、心に豊かさをもたらしてくれるはず。日常の中で、器と向き合う静かな時間をお過ごしください。
夜空のようにきらめく「Cup (Ro)」

マットでざらりとした手触りが心地よい、ころんとしたまあるいフォルムの「Cup (Ro)」。手にすると、思わずやさしく包み込みたくなるような愛らしさがあります。
深みのある漆黒の中には、ガラスのような光沢をもつ長石がきらりと輝き、光を受けるたびに表情が変わるのも魅力のひとつ。静かな黒い世界に、きらめきが潜むその様子は、まるで夜空を思わせます。

緑茶や中国茶の香りがふんわりと立ちのぼり、一杯をゆっくりと楽しむのにうってつけ。抹茶を点てると鮮やかな緑がよく映えます。また、アイスクリームやヨーグルトをよそうのにもぴったりで、日常使いがしやすい器です。
指先に宿る、小さな存在感「Small Cup」

指先でかろやかに持つことができる「Small Cup」。その小さな器からは、土の質感が指先にもしっかりと伝わり、控えめでありながら確かな存在感を放ちます。お茶のある風景を、きゅっと引き締めてくれるような一客です。

お茶を少しずつ味わいたいときにぴったりで、ゆったりとした時間の流れを楽しませてくれます。また、お酒を嗜むお猪口として使えば、いつもの晩酌がちょっぴり贅沢なひとときに。

小さいながらも豊かな表情をもつこの器は、テーブルの風景のアクセントとなってくれることでしょう。
静寂をもたらす端正な「Cup」

すっと立ち上がる端正なシルエットが印象的な「Cup」。薄手で無駄のないデザインは、手にしたときに自然になじみ、飲み物をより引き立ててくれます。

シャープな形でありながら、表面には土の粒子感がほのかに残り、指先からあたたかみを感じられるのも魅力のひとつ。

コーヒーや紅茶はもちろん、冷茶や冷酒など冷たい飲み物にも合い、食卓に静かで凛とした空気をもたらします。
流れ落ちる様が美しい「JP Pitcher」

やわらかな丸みに片口をそえた「JP Pitcher」。広めの注ぎ口からなめらかに流れ落ちていく姿は美しく、使うたびに心を和ませてくれます。
「注ぐ」「盛り付ける」どちらの用途にもふさわしい佇まいは、手にした瞬間から使い道の想像がふくらみます。

お茶の時間には「茶海」として。茶壷から一度お茶を移すことで濃さを均一に整え、最後の一滴まで美味しくいただけます。ほんのひと手間ですが、この器を通すことで味わいがいっそう豊かに広がります。
また、日本酒を注ぐ片口としてもどうぞ。晩酌やおもてなしの席に、しっとりとした趣を添えてくれます。

さらに小鉢として料理や果物を盛ったり、ソースやタレを入れたりすれば、食卓にさりげない彩りを加えてくれるでしょう。
遠藤岳さんの作品
フードスタイリスト・鈴木愛











