【私の茶道具】黒と白の片口 - 画家・テキスタイルデザイナー 伊藤尚美
お茶のある暮らしを楽しむうちについ増えてしまう茶道具たち。でもお気に入りの逸品があると、お茶はもっと楽しくなる。センスのよいあの人が、そんな愉悦にどっぷりつかってしまった茶道具をご紹介。
黒と白の片口-画家, テキスタイルデザイナー 伊藤尚美

一人でお茶を楽しむ時も、皆で分かち合うひとときにも、片口は欠かせない存在です。なかでも登場回数が多いのが、黒と白の二つの片口。
黒い琺瑯の片口は金森正起さん作で、伊賀「やまほん」で一目惚れしたもの。軽くて割れないから移動にも最高で、海外の茶会へは必ず持参します。
茶杯を中に収めて運べばコンパクトになり一石二鳥。抹茶の緑が黒に映える美しさや、最後にホイップの泡がぽとりと落ち着く姿も愛らしく、花湯や果物のシロップを注ぐと景色が引き立ち、心まで澄んでいくようです。その感覚はどこか、絵を描いている時の喜びにも似ています。
もう一つの白は古伊万里。ぽってりしたフォルムに安心感があり、清水善行さんの蓮華がぴたりと収まった時は、なんだか可笑しくて嬉しくなりました。
お茶を淹れる時間は、一人でも誰かとでも、道具を選ぶ喜びから、静かなワクワクが始まるのだと感じるのです。
画家, テキスタイルデザイナー / 伊藤尚美
| nani IRO テキスタイルデザイナー。絵を描く傍に茶事を始め、自身や友人作家の展覧会などで茶事を行う。伊賀上野にて「朝露」というサロンを主宰。Instagram:@itoitonao
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