表情豊かな一枚。田中大輝さんの「粉引き楕円皿」
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京都市京北の山あいに工房を構える「タナカ製陶」。代表の陶芸家・田中大輝さんの器は、一見とても素朴なのに、じっと見つめていると土の力強さや、釉薬のゆらぎがじわりと浮かび上がってきます。
今回ご紹介するのは、そんな田中さんの仕事の中から生まれた「粉引きの楕円皿」。やわらかく歪んだ楕円のかたち、ところどころに現れる鉄点、裏側にのぞく赤土。静かな佇まいのなかに、作り手の手の動きが確かに感じられる一枚です。

田中さんは、作品作りの中で「窯出し」の瞬間が一番好きだと言います。
「1300℃もの高温にさらされた器は、自分の力ではどうにもならない領域に放り込むことになりますが、出来上がってくるものには、答え合わせのように完成までのプロセスが現れてしまう」
そんな言葉のとおり、この楕円皿にも、ろくろの回転や土の伸び、釉薬の流れといった“プロセス”がそのまま刻まれています。
粉引きだからこその、包み込むような白

粉引きは、15世紀ごろから朝鮮半島で多く作られてきた、歴史あるうつわのスタイル。素地の上に白土をかけることで、やわらかな白の表情を生み出します。
田中さんは、この「オーソドックスな粉引き」を、現代の暮らしの中で自然になじむように仕立てています。釉薬は少し黄みを帯びた生成り色。ところどころに小さな鉄点が現れ、控えめな景色をつくっています。料理をのせたときにも主張しすぎず、そっと受け止めてくれるような、包容力のある白です。
使い込むほどに貫入や色味が変化していくのも、粉引きならではの楽しみ。田中さんが「使う度にその価値を問いながら長く愛用して、アートのように楽しんでほしい」と話す理由が、この楕円皿からも伝わってきます。
「楕円」というかたちがくれる、やわらかなリズム

このお皿のいちばんの特徴は、やわらかく歪んだ楕円のライン。きっちりとした円や四角とは違い、テーブルの上に置いたとき、どこかリラックスした空気が生まれます。
縁は少しだけ立ち上がっていて、焼き菓子やチョコレート、ナッツなどの小さなおやつをのせても安心。約19cm×11cm×2.5cmほどの小ぶりなサイズなので、お茶時間の取り皿としてはもちろん、梅干しや薬味、副菜を少しだけ盛るときにも活躍してくれます。
裏返すと、リム部分には赤土の地がのぞき、ぐるりと走る指跡が見え隠れします。正面から眺めると静かな粉引きの白、ひっくり返すと少しワイルドな表情。そのギャップもまた、田中さんの器らしい魅力です。
お香皿として、暮らしに小さな余白を

楕円皿は、食卓だけでなくリビングでも使いたくなるうつわです。細いお香立てを中央に添えると、ほどよい余白を残したお香皿に早変わり。焚き終わった灰も、立ち上がった縁が受け止めてくれるので安心です。
白い粉引きの上を、ゆるやかに煙が流れていく様子は、眺めているだけで心がほどけていくよう。
朝の支度の合間や、夜寝る前のひとときに、そっと火を灯して。日々のリズムの中に、小さな「間」をつくってくれる存在です。
お茶とお菓子をひとまとめに。小さなティートレイとして

もうひとつのおすすめは、お茶とお菓子をひとまとめにのせる使い方。小さなカップを一つと、一口サイズのお菓子を数枚。そんなふうにスタイリングすると、ほんの短い休憩時間も、ぐっと特別な時間に変わります。
粉引きの白と、茶色い焼き菓子やお茶の色とのコントラストは、見ているだけでおいしそう。長さのある楕円皿だからこそ、カップとお菓子のあいだに少しの余白が生まれ、視線が自然とテーブルの上をすべっていきます。
ひとりで静かにお茶を飲みたいときも、ゲストにささやかな一服を出したいときも。この楕円皿があれば、いつもの湯のみも、少しよそ行きの顔で迎えてくれます。











