〈 今月の表紙 〉由来の数だけ、味わい方がある。 - VOL.88(2026年8月発行号)
お茶の定期便『TOKYO TEA JOURNAL』の巻末『今月の表紙』をご紹介。毎月、イラストレーター・土居香桜里さんの素敵なイラストにちなんだ小話を掲載しています。
由来の数だけ、味わい方がある。

「シベリア」は、カステラで羊羹を挟んだ、和と洋が出会う素朴な菓子。日本生まれでありながら、その名の由来は、鉄道のように連なる羊羹の層、永久凍土に似た断面の縞模様、大正期の出兵の記憶など諸説あり、今も定説がありません。誰も正解を知らないまま、大正から今の時代へと語り継がれてきた、なんとも不思議な名前です。
昭和初期には子どもたちの憧れのおやつとして親しまれ、近年は映画の一場面で再び脚光を浴びたことも。ひとつに決まらない由来だからこそ、口にするたびに想像が広がる。名前の答えを探すように味わうのも、また一興です。
お茶を片手に、あなたなりの由来を想像してみるのも楽しいかもしれません。
文=神まどか
イラスト=土居香桜里